検証3では、1枚のCDに45分番組をいかに高画質に入れるか、という点を検証してみます。解像度と、同条件の元でのVBRと固定品質との差を中心に検証しました。最初の検証にて、かなり画質面で優れているものがあったので、勢いに乗って1枚のCDに45分番組2本をいかに高画質で収めるか、という検証もしてみました。
 また、VCD形式でCD-Rに焼くと、通常の形式とは違う形式で記録されます。そのため、記録容量よりも約10%ちょい、多くデータが入ります。それを利用してエンコードの際はマージン分も計算に入れてビットレートを決めると、(ほんのちょっぴり。多分気持ち程度ですが)画質がよくなる・・・はずです。
【検証3−1】
1枚のCD-Rに45分番組をなるべく高画質で入れる設定を検証する。
ソース:mpeg2(4Mbps) 「サイエンスZERO」:白い背景に人物が立っていて、モスキートノイズが目立つような映像が多い。
エンコード:MVCD2.6ex。
解像度:今回は352*240と352*480との比較。できればいつか704*480もやってみたい
検証方法:20インチのテレビに映して3m程度離れて見る。

※参考データ

解像度 max min CQor
AVG
F.Size E.T. 評価 寸評
A CBR 352*240 1150 438MB × いわゆる標準のビデオCD。ブロックノイズ、モスキートノイズともに目立つ。エンコード時間はソースの0.8倍程度。
B CQ 352*240 1900 270 CQ75 227MB いわゆる標準のMVCD(2.6ex)。モスキートノイズがほとんど無くなり、これだけで「夢の長時間VCD」。画質にこだわらない人はこれで十分。ファイルサイズに注目!ゆうに2時間以上は収めることができる。ちなみに2.6の方がファイルサイズがやや大きくなる。(設定が高め)エンコード時間はほぼソースと同時間。


【結果3−1】(注:E.T.はEncode Timeの略。CPUはP4 3GHz(HT)。評価は独断的かつ相対的な評価です。)

解像度 max min CQor
AVG
F.Size E.T. 評価 寸評
1) CQ 352*240 3000 270 CQ90 544MB 0:45:19  オブジェクトと背景の間にモスキートノイズが見られる。
2) VBR 352*240 3000 500 2000 550MB 0:55:29 × この中では一番劣る。ひいた画面からクローズアップする際、人物が陽炎がかかったようになる。また、オブジェクトと背景の境目にモスキートノイズが見られる。
3) VBR 352*480 3000 500 2000 677MB 1:52:41  DVD並のクオリティ。ケチのつけようがございません。敢えて言うなら、DVDよりも鮮やかさで劣る。(色合いが薄いとでもいいましょうか)
4) CQ 352*240 4000 600 CQ90 572MB 0:52:56 3)に比べて、かすかにぼやけた印象がある。解像度の差が顕著に現れ、ノイズは殆ど見られないという点は同じだが、ビデオCD独特の”ぼんやりした画面”は健在。

【考察3−1】
 今回の検証ではっきりとわかったことがあります。

 「解像度352*240と解像度352*480の間には決してこえられない壁が存在する」

 ということです。正直、一度352*480を経験するともう352*240には戻れないくらいです。
 ただし、MVCD2.6exの352*240は固定品質ですので、通常のVCDに比べたらものすごく画質はいいです。モスキートノイズも目立ちませんし。でも、それでも大きな壁があるのです。こればっかしは言葉をたくさん積み重ねるよりも、自分でみた方がいいです。ぜひお確かめ下さい。

 さて考察に移ります。

 1)はデフォルトのMVCDを少し高めたものです。VCDとしては多分に満足のいく結果です。今回は相手が悪かったということです。

 2)は1)と同じファイルサイズに近づくように設定して画質を比べようとしました。結果は惨敗。ズームの度にモスキートノイズが際だってしまい、観賞用としてはストレスが溜まります。おそらく、MVCD2.6のデフォルト設定のものよりも画質が悪いでしょう。といわけで評価は最悪の”×”。

 3)が今回のNo.1です。この解像度でVBR2000までもってくると、一応ブロックノイズは見られません。また、逆の言い方になりますがこの程度の解像度にすれば、(ほぼ)モスキートノイズとサヨナラすることができます。エンコード時間がソースの2.5倍(CPU:Pentium4 3GHz HT対応)というところが欠点といえば欠点かも知れませんが、今回は画質検証ということで問題外とします。

 4)1)のものを、ビットレートを上げてやってみました。正直、固定品質のビットレート操作はつかみ所がなく(経験もなく)暗中模索の状態です。モスキートノイズが減ったのはmaxレートを上げたおかげなのか、minレートを上げたおかげなのかよく分かりません。しかし1)よりも明らかに見やすくなりました。ファイルサイズがあまり増えていない分、お得な感じがします。

【ここまでの結論】
 画質重視なら352*480にすべし。冒頭の画像の乱れは解決の方法があるのでデメリットはないものと考えてよし。ただし、長時間重視であるならばデフォルトのMVCD(352*240)にすべし。また、352*480がベストというわけではなく、704*480との比較が必要。解像度が上がればブロックノイズが目立ってくるので、同ビットレートにおける比較が必要。でもそれは後においといて、取り敢えず【検証3−2】へ。

【検証3−2】
1枚のCD-Rギリギリまで収められるようなファイルサイズを狙ってエンコード設定をする。

 さて、冒頭に書いたように、VCDで記録するとCD-Rの容量以上のデータが入ります。ライティングソフトに今回 nero 5.5を使用しましたが、エクスプローラで表示されるファイルサイズと、 nero で表示される時間のサイズ(700MB=80min)の違いをご覧下さい。

1) サイズ 544MB VCD54:53(490MB程度?)
2) サイズ 550MB VCD55:29(490MB程度?)
3) サイズ 677MB VCD68:11(600MB程度?)
4) サイズ 572MB VCD57:27(490MB程度?)

 ご覧のように、10%近く少なく認識されることが分かります。この検証データを元に、1枚のCDに一杯までサイズを大きくし、さらなる画質向上を図ろうと思います。

前回の3)は、CD容量にまだおよそ15%のマージンがあると思われので、逆算して2350kbpsにてチャレンジ。
同じく前回の4)は、CD容量にまだおよそ30%のマージンがあると思われます。ただし固定品質は狙ってファイルサイズを作れないという弱点があります。。よくわからないのでminを2000にしてチャレンジ。
前回の2)は全く期待をしていないが、引き立て役として一応ビットレートを上げてやってみることに。なお、今回、バッチエンコードして寝てしまい、スタンバイ設定にしていたのでエンコード時間が測定できませんでした。

【結果3−2】

解像度 max min CQor
AVG
F.Size E.T. 評価 寸評
2-2) VBR 352*240 3500 600 2850 754MB 不明 ビットレートが上がった分、ブロックノイズは見られなくなった。ズームアップや、VCDが苦手とする単色背景と人物の境目もノイズが現れることなく、クリアだった。固定品質のモノに匹敵する画質と言える。しかしながら、ぼやけた画質なのは相変わらずであった。
3-2) VBR 352*480 3000 600 2350 787MB 不明 当然の事ながら、3)と同じで、ブロックノイズは殆ど見られない。画質は非常に鮮明であるが、DVDと比べると若干色合いが薄いようにも思える。
4-2) CQ 352*240 4000 2000 CQ90 572MB 不明 サイズ、画質ともに4)と変わらないように思える。ブロックノイズはないが、ぼやけた画質であることには変わりなし。可もなく不可もないが、ファイルサイズが半端なので使い道に困る。

【考察3−2】
 まず本命とも言える3-2(352*480 VBR2350)だが、相変わらず非常に鮮明な画質であった。前回より350kpbsビットレートを上げて110MBほどファイルサイズが増えたが、ビットレートが上がった分の画質の向上は肉眼では殆ど分からない。1枚のCD-Rに45分番組1回分だけ収めようと思うのなら、アベレージ2000kbpsでも十分と言える。ちなみに上記のサイズでも700MBのCD-Rにしっかりと収まった。(nero5.5使用時)
 続いて対抗の4-2(CQ90)だが、ビットレートを上げてもファイルサイズに変化は見られなかった。ソース自体が4Mbpsのmpeg2なのでこれ以上ビットレートを上げても無意味なわけだが、最小ビットレートを上げたせいか、モスキートノイズが全く見られなくなったように思えた。総合的には鮮明さという点で3-2にはかなわない。
 全く期待していなかった2-2については、ビットレート向上分の画質アップが見受けられた。MVCD2.6exデフォルトの設定と同じ程度の画質と言っていいだろう。ただし、その設定の場合、ファイルサイズが227MBなので、その3倍以上のファイルサイズで画質的に同等ならば、存在価値はかなり低いと言える。
 さて、3)と4)の画質がかなり良好だったため、1枚に45分番組2回分(要は90分収める)に相当するファイルサイズでどのくらいの画質なのかもこれから検証したいと思います。

【ここまでの結論】
 サイズギリギリまで狙ってもそれ程の画質向上は(肉眼では)見込めない。ただし理論上は画質が上がっているので、例えば激しい動きが多い映像などでは考えて見るべし。残る検証点は、
・90分収めるよう設定した映像は、鑑賞に堪えうるかどうか。
・352*480と704*480、どちらを選ぶか。
である。

【検証3−3】
1枚のCD-Rギリギリまで収められるようなファイルサイズを狙ってエンコード設定をする。(その2)
1枚のCD-Rに90分収めるときの画質を検証する。

ソース:mpeg2(4Mbps) 「サイエンスZERO」:白い背景に人物が立っていて、モスキートノイズが目立つような映像が多い。
エンコード:MVCD2.6ex。
検証方法:20インチのテレビに映して3m程度離れて見る。
ビットレートについて:352*480についてはビットレート計算機で1011kbpsと出たので、マージンを見て1100にてチャレンジ。253*240は、少しハンデをつけてちょっと多めのレートでチャレンジ。(下記参照)

【結果3−3】

解像度 max min CQor
AVG
F.Size E.T. 評価 寸評
2-3) VBR 352*240 3000 600 1250 538MB 不明 ブロックノイズ等はあまり見られない。見やすい画質ではある。ぼやけた画質なので解像度の差が顕著に見られる。
3-3) VBR 352*480 3000 600 1100 401MB 不明 ビットレートに不安があったが、見てびっくり。AVG2000の時と画質は変わらない印象を受けた。ホールの観客席で人間の頭が密集しているシーンでもやもやした以外は取り敢えず目立ったブロックノイズは見受けられなかった。20インチのテレビで2m程度離れてみる分にはまったく問題はない。夢の90分VCDと言える。B'zRecorder5.4でぎりぎり収まった。nero5.5で焼こうとするとneroが落ちてしまったことがやや気になる。(注:nero6では無問題。PC環境によるモノと思われる。ウチのPC、そろそろ再インストールした方がいいかも・・・。)

【考察3−3】
 CBRにおけるVCDとほぼ同じビットレートにまで落としてみた3-3)についてだが、申し分のない画質だった。無論、動きの激しい(例えばサッカーの試合のような)ものではブロックノイズが出てくるかも知れない。それは今後の検証にて追究してみたいと思う。少なくとも、今回試したような教養番組では十分鑑賞に堪えうる画質だった。
 また、解像度の低い2-3)は、ブロックノイズという点においては及第点である。しかしながらほぼ同じビットレートで352*480でもブロックノイズは目立たないのだから、ぼやけた画質になってしまうこちらを選択する理由は全くない。

 ちなみに、3-3)のファイルサイズだが、neroでこれを2つライティングしようとしたときに表示されるサイズは「78:49」だった。つまり、容量全体の98.5%を使用していることになる。90分収めようとするのなら、このあたりが本当の限界と言える。もしも外周にエラーが多いようなメディアを使うのなら、もう少しビットレートを落とす方が賢明かも知れない。(04/02/28)

 続いての検証は、これらの結果を元に、いよいよ704*480 との比較を行います。基本的に解像度を増やせばそれだけブロックノイズも増えるので、ソースの長さに応じてどのあたりが落としどころになるのかを調べたいと思います。